プロサイクリストがコーヒーを頻繁に飲む理由まとめ

Coffee

サイクリストに人気の海外の動画チャンネル、GCNの動画を観ていると、よく出てくるのがコーヒー。

UCIワールドチームのチームバスには必ずの様にエスプレッソマシーンがあり、練習中にもコーヒーブレークとしてヨーロッパのお洒落なカフェでの休憩のシーンやレース前にはコーヒーを何杯飲むかという動画もあり、プロサイクリスト達にとってコーヒーが欠かせない存在となっているのを感じます。

この動画では2015年のブエルタ・ア・エスパーニャのステージ前に、選手たちがどれくらいコーヒーを飲むのかインタビューしています。1~4杯ほどのコーヒーを飲むようで、3~4杯のコーヒーを飲む選手が多い印象を受けました。

チームスカイのクリスチャン・ニースは、まだ3杯しか飲んでいないから今日はレベルの低いサイクリストだとコメントしているのが印象的で、コーヒーにはパフォーマンスへの影響があるような意見を感じられます。

コーヒーが脂肪燃焼や基礎代謝アップなどのダイエット効果に役立つことは耳にしたことがありましたが、具体的にどのような効果があるのかは調べたことがありませんでした。

特に自転車×コーヒー文化の根強いヨーロッパで、選手が積極的にコーヒーを飲んでいるのをこの動画で感じたので、コーヒーがダイエット効果以上にサイクリングに与える影響が気になり、今回調べてみました。

非常に興味深いことが分かったので今回はコーヒーに含まれるカフェインがサイクリストに与える効果をまとめてみます。

基礎代謝量を上げる

Diet

ダイエット目的でロードバイクに乗っている人は多いと思います。ダイエットを成功させるためのポイントの1つとして大切なのは基礎代謝を上げることです。

基礎代謝が上がれば、運動をしていない日でも代謝が上がった分のカロリーを消費して、楽にダイエットをすることができます。

海外の栄養情報サイト、Authority Nutritionによると、カフェインを摂取することにより3~11%の安静代謝率が上がり、痩せている人の場合は最大で29%、太っている人で約10%上がったようです。

より多くのカフェインを摂取することで、より多くの代謝を上げることに効果があると紹介されています。

安静代謝率は体を全く動かさない状態で使われるカロリーのことで、1日のカロリーの約7割分に相当しています。基礎代謝とは厳密には違いますが、類似の指標として参考になるため、基礎代謝にも数パーセントアップの効果が期待できそうです。

プロのロードレーサーは少しでも軽い機材を求めるように、パフォーマンスの向上のために減量や体重管理に励んでいる選手も少なくありません。プロのサイクリストにも欠かせないコーヒーの利点の1つですね。

体脂肪の燃焼効果

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自分の体脂肪率に満足していますか?という質問に迷わず、はいと答えられる人は少ないはず。

そんな私も体脂肪の燃焼のためにも運動をしているわけですが、効率的に体脂肪を燃焼できればそれに越したことはありません。

同じくAuthority Nutritionによると、血中のエピネフリン(アドレナリン)の値を高める効果があるようで、それが脂肪組織に影響をして脂肪を分解し血中に流すという効果があるようです。

京都産業大学の森谷敏夫教授らが行った実験でも、300mgのカフェインが配合されたカプセルを、低負荷の自転車トレーニングを行う2時間前に100mlの水と摂取したところ、より高い脂肪燃焼の効果を生んだようです。

具体的に何パーセントほど脂肪の燃焼に役立つといった具体的な数字のある信頼できる情報は見つかりませんでしたが、多くの実験が示すようにカフェインには有用な脂肪燃焼の効果があるようで、サイクリストにとってトレーニング前にカフェインを摂取することで効率的に体脂肪を燃やすことができるようです。

これは日常的に運動をする人にとっては魅力的なカフェインの効用ですね。

パフォーマンスの向上

Cyclists

サイクリングのパフォーマンスの向上にカフェインが有効だということでコーヒーを飲んでいる人は多いようです。冒頭のGCNの動画でもトッププロのサイクリスト達がレース前に3~4杯のコーヒーを飲んでいるのは、この理由が一番大きいからでしょう。

そんなカフェインとサイクリングのパフォーマンス向上の関係をまとめた中で秀逸だったのが、オーストラリア国立スポーツ研究所とオーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学の実験です。発表された論文はこちら(英語)。

カフェインを摂取することで耐久系スポーツでのパフォーマンスの向上に役立つことはいくつかの論文で認められていますが、この研究では量やタイミングなど具体的などのような方法での摂取をするべきか、またはパフォーマンス以外にも血糖値や血中乳酸濃度、血漿インシュリンなどへの影響を調べています。

その中でも特に気になる内容がこれらです。

カフェインの摂取でRPEを低く抑えられる


PHOTO:Effect of different protocols of caffeine intake on metabolism and endurance performance

PRE(自覚的運動強度)という運動に関する指標をご存知でしたか?脈拍と関連のある指標で、今行っている運動が激しいと感じる場合にはPREが高まり、楽だと感じる運動ではPREが低くなるという仕組みです。

上のグラフは120分間のサイクリングを行った際のPREの変化を示した図ですが、プラシーボ効果(カフェイン無しの状態)はPREが開始時には低い状態ですがすぐに上昇し、カフェインを事前に摂取した場合は安定して低い状態に保っています。

カフェインを摂取することによりPREが3%下がり、運動に対する強度が低く感じるという効果を生むことができるようです。

いつもと同じ負荷の掛かったメニューやレース中も、わずかに楽に感じてサイクリングができるというのは大きなメリットですね。

TTのパフォーマンスが最大5%アップ


PHOTO:The Metabolic and Performance Effects of Caffeine Compared to Coffee during Endurance Exercise

バーミンガム大学が行った実験では類似の研究(英語)ではカフェインがTT(タイムトライアル)に影響する結果があります。

カフェインを摂取した場合はTT中のパワー出力に大きな違いがあったようで、カフェイン入りの飲み物を事前に摂取した場合は、摂取していない場合に比べ4.9%のパフォーマンスの向上につながり、インスタントコーヒーの場合は4.7%パフォーマンスの向上につながったようです。

心拍数を低下させる

心拍トレーニングや、レース中の心拍数の記録を取っている人は多いと思います。

トレーニングなどの指標としてだけでなく、同じ強度のサイクリングでも低い心拍数で行うことができれば、より持続性の高いパフォーマンスを発揮することができるため、心肺機能を高めたいという人も多いと思います。

カフェインは運動中の心拍数の低下にも役立つようで、アメリカ・ウィスコンシン大学で行われたこちらの研究(英語)では、カフェインの摂取が4~7のBPM(1分間あたりの心拍数)の低下に効果があったとあります。

ただこの実験結果では、最大酸素摂取量(VO2max)が63%までの状態で効果があったようで、ピーク値に近い場合は心拍数に大きな影響はなく、体重1kgあたりカフェインを3mg摂取した場合のほうがわずかに心拍数が高くなるという結果です。

体重1kgあたり1.5mgを摂取した場合は依然カフェイン無しと同じか、ごくわずかに心拍数を低く保てるようです。

注意:必ずしも効果を得られるわけではない

今回紹介した実験では、いずれの場合も実験の対象者の数が少なく、統計的なデータとは言えないので、必ずしもカフェインを摂取することで同様の効果を得られるわけではありません。

そして、カフェインが与える効果は個人差が大きく、人によってはカフェインを摂取していない場合のほうがパフォーマンスが高い場合があります。ある実験ではカフェインの効果は対象者の約半数にしか現れなかったとの結果もあります。対象者によってはマイナスの効果につながるという場合も。

他にもカフェインを日常的にどれくらい摂取しているか、カフェインへの耐性がどれだけあるのかで効果は変わるようです。

パフォーマンス改善のために競技前の一定期間カフェイン抜きをすることもあったり、カフェイン抜きによる違いは無いという言うリサーチもあるようで、分かりにくいのが現状です。

カフェインに関する研究はたくさんありますが、まだまだはっきりとした答えや全貌が分かっているわけではないので、個人差が大きいということを頭に入れておきましょう。

理想的なカフェインの摂取方法

Coffee

タイミング

上で紹介したリサーチの中では運動開始1時間前のカフェイン摂取が勧められています。

オーストラリア国立スポーツ研究所とロイヤルメルボルン工科大学の研究結果のグラフでもあるように、運動開始時から20分ごとにカフェイン摂取をした場合(以下、DURCAF)に、運動1時間前の摂取(以下、PRECAF)と同じPRE(自覚的運動強度)に達するためには60分を要しています。

60分以降はPRECAFのほうがPREが高くなり、DURCAFが低いまま推移するので、60分以内のサイクリングやレースの場合は1時間前のカフェイン摂取が理想的です。

それ以上の長時間のサイクリングの場合は運動開始時から取り始めたり、1時間前にカフェイン摂取をして、ライド中にはカフェイン入りのジェルなどでカフェイン補給をするという方法が良いと思います。

摂取量

オーストラリア国立スポーツ研究所の実験では体重1kgあたり6mgの摂取を行っています。例えば、体重60㎏の人の場合は360mgのカフェインが必要ということになります。

ただカフェインの摂取量には色んな議論があるようで、上で紹介したバーミンガム大学の研究で体重1㎏あたり5mg、ウィスコンシン大学の研究では3mgが使われています。

360mgのカフェインと聞くとかなり多く感じてしまいますが、3mg/kgの摂取でも効果はあると言う研究もあるようなので、3mg/kgを目安に取ってみるのが良いかもしれません。

カフェイン量に注意

コーヒーに含まれる肝心のカフェイン量ですが、全日本コーヒー協会によると100mlのドリップコーヒーには約60mgのカフェインが含まれるとあります。そして、エスプレッソのシングルショット(約30ml)には約60mgのカフェインが含まれるようです。

ただ、カフェインの含有量に関しては、コーヒー豆の産地や焙煎具合、抽出するお湯の温度など様々な要素で大きく異なるため、しっかりと体重に合ったカフェイン量がほしいという場合はサプリメントを取るのが良いかもしれません。

例えば、こちらのスティックは1本59mgのカフェインが含まれているようです。

まとめ

今回は主にカフェインとサイクリングのパフォーマンスの関係をまとめてみました。

私自身はコーヒーはほとんど飲まないんですが、プロのサイクリストや周りの人たちがコーヒーをよく飲んでいるいるのを見ると、どういう理由でコーヒーを飲んでいるのかということがずっと気になっていたので、今回その理由を調べてみて納得しました。

ただ、コーヒーには不眠症や血圧の上昇などの副作用もあるようなので、こちらもメリット同様に様々な報告があるのでどう判断するかは難しいところですが、体質的に問題が無ければスポーツのためにコーヒーを積極的に飲むのは十分ある選択肢だと思いました。

私の場合はコーヒーを飲むと眠れなくなることがあるので、大事なイベントやレースの1時間前に飲むという方法を試してみたいと思います。

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